a nois dead in spring

投稿者: さかしま逸

2012年6月02日

カテゴリー: vorlese

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絞り:f/2.8
焦点距離:45mm
ISO:1600
シャッター:1/0秒
カメラ:Canon EOS 5D


「こんなキレイなもんなんだからさ
悪いことなんてなんもないよ」

ハルが指先でつまむ綺麗な青色をした錠剤。
それは俺たちを天国につれてってくれる。

「綺麗なんと悪くないってのは別っしょ」

美人がかならず善人とは限らない。
そう言ったらあっさり否定された。
ざっくりと切られた前髪の奥で色素の薄い瞳が笑う。

「必ずしも善人じゃなくていーんだよ。
ほら、タカシも美女に殴られたらまあいっかってなるでしょ?」

「そうか?」

「そうだよ」

俺はならないと思うけどなあ…、と呟いたら笑顔のまま
「あータカシ女の人好きくないもんね」と言われてしまった。
その発言内容よりも先に、奇妙な日本語が気になってしまう。

「好きくない、じゃなくて好きじゃない」

「どっちでも一緒」

「ことばは、正しいほうが綺麗だろう?」

「きたないことばにうつくしさを感じることだってあるさ」

「たとえば?」

「好きくない」

屁理屈かよ、と笑ったらそんなことないとむくれられてしまった。

窓から差し込む光は限りなく鮮やかで
さんざめく、という形容詞がふと思い浮かぶ。
目を閉じたらきっと毛細血管があかく視界に浮かぶに違いない。
細かく入り組んだそれを辿ることは
果たして可能なのだろうか。

あたまの中ではいつのまにやらペットショップボーイズがエンドレスにながれはじめていた。
俺はそれにあわせて口笛を吹く。

ノイズ。ノイズ。ノイズ。

きっと正しく綺麗なことばもきたなくうつくしい言葉もそうして今鳴り響いている音楽も結局のところただの雑音にすぎないんだろう。
それは俺たちがセックスしたりめしを食ったりするのが何等意味を持たないのと一緒で、ならばこの綺麗な青色の描きだす景色だって意味を持たないんだろう。

ノイズ。

ああ神様
アンタのいる場所は愛すべきノイズ達にも楽園、